『そして誰もいなくなった』(クリスティー文庫)は、アガサ・クリスティーが1939年に発表した世界的名作で、“クローズド・サークル”と“見立て殺人”の原点とも言える傑作です。。
🏝 あらすじと設定
- 舞台はデヴォン州沖の孤島「インディアン島」。
- 招待主U.N.オーエン(Unknown=正体不明)から呼ばれた10人の男女が島に集められる。
- 夕食後、蓄音機から「あなた方は過去に殺人を犯した」と告発する声が流れる。
- 屋敷には「十人のインディアンの少年」の童謡が飾られており、食堂には10体のインディアン人形。
- 童謡の歌詞通りに、1人ずつ殺されていく。
🔪 各人物の罪と死(童謡との見立て)
名前 | 罪状 | 死因 | 見立て |
---|---|---|---|
アンソニー・マーストン | 車で2人を轢き殺す | 毒入り酒 | 喉を詰まらせて |
エセル・ロジャース | 主人を薬で殺害(夫と共謀) | 睡眠中に死亡 | 寝すごして |
ジョン・マカーサー将軍 | 妻の愛人を戦地に送り殺害 | 鈍器で後頭部を殴打 | そこに残って |
トマス・ロジャース | 主人殺害の共犯 | 斧で頸部を切断 | 真っ二つに割れて |
エミリー・ブレント | 家政婦を追い詰め自殺させる | 毒入り注射 | 蜂に刺されて |
ローレンス・ウォーグレイヴ判事 | 無実の男を死刑に | 偽装自殺(実は犯人) | 大法院に入って |
エドワード・アームストロング医師 | 手術ミスで女性を死なせる | 溺死(犯人に誘導され) | にしんにのまれて |
ウィリアム・ブロア元警部 | 無実の男を冤罪で死なせる | 大理石の時計で頭を潰される | 大熊に抱きしめられて |
フィリップ・ロンバード | 21人の部族民を見殺し | ヴェラに射殺される | 陽に焼かれて |
ヴェラ・クレイソン | 恋人の弟を溺死させる | 自殺(首吊り) | 首をくくって |
🧠 真犯人の正体とトリック
- 犯人はウォーグレイヴ判事。彼は正義への異常な執着から「罪人を裁く」ために計画を立てた。
- 自らも死んだように見せかけ(アームストロングと共謀)、その後アームストロングを殺害。
- 最後にヴェラが自殺した後、ウォーグレイヴは本当に自殺し、“そして誰もいなくなった”が完成。
- 真相は、漂流した瓶の中に入っていたウォーグレイヴの告白文で明かされる。
🎭 作品の特徴と影響
- クローズド・サークル:外界と遮断された孤島での連続殺人。
- 見立て殺人:童謡に沿って殺害される手法。
- 心理描写:疑心暗鬼に陥る登場人物たちの心理が緻密に描かれる。
- 影響力:後の推理小説・映画・ドラマに多大な影響を与えた。