『作家刑事毒島』(幻冬舎文庫)は、中山七里による痛快リーガル・ミステリー短編集で、毒舌と推理力を武器に事件を解決する元刑事で人気作家・毒島真理が主人公です。以下に、
📚 収録作品とネタバレ付き内容
① ワナビの心理試験
- 事件:新人賞の選考に関わる出版プロデューサー・百目鬼二郎が刺殺される。
- 容疑者:彼の評価に憤慨した応募者3名(天城まひろ、近江英郎、藍川しおり)。
- 捜査:毒島は容疑者たちに毒舌で作品批評をぶつけ、怒りを煽る。
- 真相:犯人は近江英郎。元工作機械技術者で、改造エアガンで毒島を狙撃しようとするが失敗。毒島のSNS投稿で誘導された罠だった。
② 編集者は偏執者
- 事件:有能だが偏執的な編集者・班目彬が殺害される。
- 容疑者:彼に抗議文を送った2人の作家。
- 捜査:毒島と高千穂明日香が再びコンビを組み、出版業界の闇に切り込む。
- 真相:編集者の強引な手法が恨みを買い、犯人は業界内の人物だった。
③ 賞を獲ってはみたものの
- 事件:大御所ミステリ作家・桐原夢幻が殺害される。
- 背景:桐原は厳しい審査で受賞者に恨まれていた。
- 捜査:毒島は受賞者たちの心理を読み解き、犯人を特定。
- 真相:犯人は受賞者の一人で、桐原の評価に絶望し犯行に及んだ。
④ 愛瀆者
- 事件:人気作家・高森京平がトークショー後に殺害される。
- 容疑者:懇親会に参加した抽選当選者3名。いずれも強烈な個性と動機を持つ。
- 捜査:毒島が彼らの心理を突き、犯人を追い詰める。
- 真相:犯人は高森に執着していたファン。拒絶されたことが動機。
⑤ 原作とドラマの間には深くて暗い川がある
- 事件:毒島の作品を改悪したテレビ局プロデューサー・曽根雅人が殺害される。
- 容疑者:毒島自身も容疑者に挙げられる異例の展開。
- 捜査:毒島は冷静に推理を進め、自らの潔白を証明。
- 真相:犯人はドラマ制作関係者。作品への侮辱が動機だった。
🧠 作品の魅力とテーマ
特徴 | 内容 |
---|---|
主人公 | 毒島真理:元刑事で人気作家。毒舌と推理力が武器。 |
相棒 | 高千穂明日香:犬養隼人シリーズからの登場人物。 |
舞台 | 出版業界・作家志望者・編集者など創作の裏側。 |
テーマ | 承認欲求、嫉妬、挫折、名誉欲など人間の業。 |
毒島の毒舌と鋭い洞察が光る、出版業界を舞台にした異色のミステリー。