『放課後』(講談社文庫)は、東野圭吾のデビュー作であり、第31回江戸川乱歩賞を受賞した学園ミステリーです。
🏫 作品概要
- 著者:東野圭吾
- ジャンル:学園ミステリー/密室殺人/青春サスペンス
- 舞台:私立清華女子高校
- 主人公:前島(数学教師・アーチェリー部顧問)
🧩 あらすじ(ネタバレあり)
序盤:教師への脅迫と密室殺人
私立清華女子高校の数学教師・前島は、何者かに命を狙われていたが、校長の指示で警察には届けずにいた。ある日、校内の男子更衣室で生徒指導部長の村橋が青酸中毒で死亡。現場は内側から心張り棒がかけられた密室だった。
中盤:容疑者と伏線
事件の容疑者として浮かび上がるのは、アーチェリー部のキャプテン杉田恵子(ケイ)、サブリーダーの朝倉加奈江、剣道部主将の北条雅美など。さらに、村橋が女子生徒の合宿を覗いていたことや、教師・麻生恭子との関係を示すポラロイド写真が発見される。
第2の事件:運動会での殺人
運動会の仮装行列中に、教師の竹井が毒殺される。前島は事件の真相に迫るが、犯人に襲われて負傷する。
真相:複数の犯人と動機
- 村橋殺害の犯人は宮坂恵美。彼女は合宿中に自慰行為をしていたところを村橋に覗かれ、屈辱から殺害を決意。
- 村橋の背広から麻生恭子の寝顔写真を偶然発見したことも動機の一因。
- 竹井殺害は、村橋殺害の隠蔽を図った麻生恭子によるもの。
- 前島が刺された事件は、妻・裕美子とその不倫相手であるマーケット店長・芹沢の犯行。裕美子は中絶を機に前島との関係が冷え、芹沢と共謀して殺害を企てた。
👤 主な登場人物
名前 | 役割 |
---|---|
前島 | 数学教師。アーチェリー部顧問。主人公。 |
宮坂恵美 | アーチェリー部員。村橋殺害の犯人。 |
村橋 | 生徒指導部長。青酸中毒で死亡。 |
麻生恭子 | 英会話クラブ顧問。竹井殺害の犯人。 |
裕美子 | 前島の妻。不倫相手と共に前島を襲う。 |
芹沢 | 裕美子の不倫相手。マーケット店長。 |
杉田恵子(ケイ) | アーチェリー部キャプテン。 |
北条雅美 | 剣道部主将。 |
🎭 作品の特徴とテーマ
- 密室トリック:心張り棒による密室構造とその解明。
- 青春の闇:女子高生の性、教師の不正、家庭の崩壊。
- 伏線回収:左手のサポーター、写真、電話などが後に効いてくる。
- どんでん返し:事件解決後にも新たな犯行が判明する二重構造。
🏆 評価と影響
- 東野圭吾の作家デビュー作であり、後の作品群に通じる構成力と伏線技術がすでに光る。
- 山下真司主演でテレビドラマ化もされている。