『白馬山荘殺人事件』(光文社文庫)は、東野圭吾による初期の本格ミステリーで、雪深いペンションを舞台にした密室殺人と暗号解読が絡む王道の推理小説です。
🏔️ 作品概要
- 著者:東野圭吾
- 初版:1986年(カッパノベルス)、1990年に文庫化
- ジャンル:本格ミステリー/密室殺人/暗号解読
- 舞台:信州・白馬のペンション「まざあ・ぐうす」
🧩 あらすじ(ネタバレあり)
一年前の事件:兄の死
大学生・原ナオコの兄・公一が、白馬のペンション「まざあ・ぐうす」で密室状態で死亡。遺書には「マリア様が、家に帰るのはいつか?」という謎めいた言葉が残されていた。警察は自殺と判断するが、ナオコは納得できず、親友のマコトとともにペンションを再訪する。
再訪と新たな事件
ナオコたちが訪れた冬、ペンションには前年と同じ宿泊客が集まっていた。やがて、宿泊客の一人・大木が殺害される。さらに、ペンションの過去に関わる英国人女性の失踪事件も浮上し、謎が複雑に絡み合っていく。
マザーグースの暗号
ペンションの各部屋にはマザーグースの詩が飾られており、公一の遺言と関係があることが判明。詩の中に隠された暗号を解読することで、ペンションの地下に隠された秘密が明らかになる。
密室トリックと犯人
- 公一の死は密室殺人だったが、窓の錠に細工がされていた。
- 犯人は江波。彼は建築会社勤務で、窓の構造に詳しく、密室を偽装できた。
- さらに、ペンション従業員のクルミも事件に関与していたことが判明。
- 大木殺害も江波によるもので、夜中に彼と会っていたことを村政警部がハッタリで引き出す。
終盤のどんでん返し
- 暗号解読の誤りにより、発掘場所を間違えていたことが判明。
- 正しい場所を掘ると、英国人女性の息子の白骨死体が発見される。
- エピローグでは、プロローグの伏線が回収され、ペンションの過去と現在がつながる。
👤 主な登場人物
名前 | 役割 |
---|---|
原ナオコ | 主人公。兄の死の真相を追う大学生。 |
沢村マコト | ナオコの親友。推理の相棒。 |
原公一 | ナオコの兄。密室で死亡。 |
江波 | 建築会社勤務。真犯人。 |
クルミ | ペンション従業員。事件に関与。 |
村政警部 | 捜査担当。最後に真相を解明。 |
大木 | 宿泊客。二番目の被害者。 |
上条 | 川崎家に雇われた調査員。 |
🔍 作品の特徴とテーマ
- 密室トリック:窓の錠の細工による本格的な密室殺人。
- 暗号解読:マザーグースの詩に隠された暗号が鍵。
- クローズド・サークル:雪に閉ざされたペンションでの連続殺人。
- 伏線回収:プロローグとエピローグで巧みに構成された構造。