『マスカレード・ホテル』(集英社文庫)は、東野圭吾による長編ミステリーで、「仮面=マスカレード」をテーマにした人気シリーズの第1作です。
🏨 物語の概要
- 舞台:一流ホテル「コルテシア東京」
- 主人公:新田浩介(警視庁捜査一課の刑事)、山岸尚美(ホテルのフロントクラーク)
- 事件:都内で発生した3件の連続殺人。現場に残された暗号から、次の犯行場所がこのホテルだと判明。
🧩 あらすじと展開(ネタバレあり)
潜入捜査の開始
警察は次の殺人がホテル・コルテシア東京で起こると予測し、刑事たちをホテルスタッフとして潜入させる。新田浩介はフロント係として配属され、尚美が教育係となる。価値観の違いから衝突しつつも、次第に信頼関係を築いていく。
怪しげな宿泊客たち
ホテルには様々な“仮面”を被った客が現れる:
- 片桐瑶子:視覚障害者を装うが、実は目が見える。夫のために下見に来ていた。
- 安野絵里子:結婚式を控えた女性。ストーカー被害に遭っている。
- 栗原健治:新田に執拗なクレームを入れる男。
- 館林光弘:スイートルームに泊まる謎の男。
- 渡辺紀之と高山佳子:結婚式を控えたカップル。佳子は過去の事件と関係がある。
真相への接近
新田は暗号の意味を尚美に明かす。過去の犯行現場に残された数字は緯度・経度を示しており、次の犯行場所がこのホテルだと判明したのだ。警察は犯人もターゲットも特定できていないため、宿泊客全員が容疑者となる。
犯人の正体と動機
犯人は長倉麻貴。彼女はかつて恋人・松岡高志を殺された過去を持ち、その復讐のために連続殺人を計画。被害者たちは松岡の死に関与した人物だった。
- 長倉はホテルで尚美を殺害しようとするが、新田が阻止。
- 尚美が松岡と同じ方法で殺されれば、警察が事件を結びつけると考えた長倉は、尚美を最後のターゲットに選んだ。
- 新田と尚美の連携により、事件は未然に防がれ、長倉は逮捕される。
🎭 テーマと構造
テーマ | 内容 |
---|---|
仮面 | 客も従業員も“仮面”を被っている。 |
正義と復讐 | 犯人の動機は復讐だが、正義の名を借りている。 |
異業種連携 | 刑事とホテルマンの協力が事件解決の鍵。 |
サスペンス | 宿泊客の中に犯人がいるという緊張感。 |
🎬 映像化情報
- 映画化:2019年公開(主演:木村拓哉、長澤まさみ)
- 映像向きの構成で、ホテル業務と捜査の両面が描かれる