同級生

『同級生』(講談社文庫)は、東野圭吾による学園青春ミステリーで、デビュー作『放課後』に続く高校を舞台にした作品です。


🏫 作品概要

  • 著者:東野圭吾
  • ジャンル:青春×学園×ミステリー
  • 舞台:修文館高校
  • 主人公:西原壮一(高校3年生・野球部キャプテン)

🧩 あらすじ(ネタバレあり)

第1の事件:由希子の事故死

野球部マネージャーの宮前由希子が、産婦人科近くの道路でトラックに轢かれて死亡。事故直前、彼女は妊娠していたことが判明し、壮一は自分が父親かもしれないと疑う。

壮一は由希子の死に責任を感じ、事故の真相を探り始める。事故現場には生活指導の教師御崎藤江がいたことが判明する。

第2の事件:教師の死

御崎藤江が校舎内で絞殺される。現場にはダンベルやテーピングテープがあり、他殺に見せかけた自殺の可能性が浮上。壮一は事件の真相を追うが、教師たちの隠蔽体質に直面する。

真相の解明

  • 由希子の妊娠相手は壮一ではなく、理科教師で天文部顧問の灰藤
  • 御崎は灰藤に愛憎を抱いており、由希子の死に灰藤が関与していると知って絶望し、自殺を図る。
  • 自殺を他殺に見せかけたのは灰藤自身。自分に疑いが向かないよう、現場を偽装した。
  • テーピングテープには御崎の遺書が書かれていたが、灰藤はそれを隠そうとする。

壮一の告白と動機

壮一は由希子の妊娠の相手が自分だと名乗り出るが、それは恋人の水村緋絽子を苦しめるための嘘だった。壮一の行動は、青春の未熟さと残酷さを象徴している。


👤 主な登場人物

名前役割
西原壮一主人公。野球部キャプテン。
宮前由希子野球部マネージャー。事故死。
水村緋絽子壮一の恋人。天文部部長。
御崎藤江国語教師。自殺。
灰藤理科教師。事件の鍵を握る人物。
西原春美壮一の妹。序盤の伏線に関与。

🎭 作品の特徴とテーマ

  • 青春の残酷さ:未熟な感情が人を傷つける。
  • 教師への批判:隠蔽体質や自己保身が強く描かれる。
  • 伏線構成:妹・春美のエピソードが終盤で回収される。
  • タイトルの意味:「同級生」とは、表面的な関係性ではなく、深い人間関係の象徴。

📝 評価とあとがき

  • 東野圭吾が初めて「あとがき」を書いた作品で、教師嫌いが強く反映されている。
  • 本格ミステリー要素は薄めで、青春ドラマとしての色が濃い。
  • 読後感は重く、誰にも共感しにくい登場人物たちがリアルに描かれている。