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密室の鍵貸します

『密室の鍵貸します』(東川篤哉・光文社文庫)は、烏賊川市シリーズの第1作目であり、ユーモアと本格ミステリが融合した軽快な推理小説です。🧩 物語の概要(ネタバレ込み)🔰 主人公と舞台主人公はしがない大学生・戸村流平。舞台は千葉と神奈川の間にある架空の街「烏賊川市」。流平は、元恋人・紺野由紀に振られたその日に、彼女が背中を刺され、4階から突き落とされて死亡。さらにその夜、一緒にいた先輩・茂呂耕作も浴室で刺殺される。🕵 探偵登場と捜査の展開流平は二重殺人の第一容疑者となり、逃亡を余儀なくされる。彼を助けるのが、姉の元夫で私立探偵の鵜飼杜夫。鵜飼は、ユーモラスで軽妙な語り口ながら、鋭い推理力を持つ。警察の刑事コンビ(ヤンキー上がりなど個性的)も登場し、事件を追う。🔐 密室トリックと真相第1の事件:紺野由紀殺害実行犯は茂呂耕作。動機は、流平に恋するあまり、元カノを排除しようとした。彼女を刺した後、突き落として偽装。第2の事件:茂呂耕作殺害茂呂は、犯行後に買い物袋をホームレスに奪われそうになり、もみ合いの末に殺される。つまり、密室殺人のように見えたが、偶発的な事件だった。🎭 作品の特徴ユーモア本格...
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虚ろな十字架

『虚ろな十字架』(東野圭吾)は、死刑制度と「償い」の本質を問いかける社会派ミステリーです。🧩 第1章:娘に続き、妻までも…主人公・中原道正は、娘・愛美を強盗殺人で失う。犯人・蛭川和男は仮出所中の再犯者で、死刑判決を受ける。道正と妻・小夜子は深い悲しみに沈み、やがて離婚。🕊 第2章:腑に落ちないいくつかの問題道正はペット葬儀場で働きながら静かな生活を送る。元妻・小夜子が町村作造に殺害される。小夜子は死刑制度に関心を持ち、犯罪被害者の支援活動をしていた。道正は彼女の死に疑問を抱き、独自に調査を開始。🔍 第3章:小夜子の命が奪われた本当の理由小夜子は万引き常習者・井口沙織と、彼女の過去の罪(乳児殺害)を取材。沙織の元恋人・仁科文也(小児科医)も過去に関与していた。小夜子は仁科にも償いを求めようと彼の家を訪問。仁科の義父・町村作造が、小夜子の告発を恐れて殺害。⚖ 第4章:人を殺したときの償いとは沙織は自首し、過去の罪を告白。道正は、死刑ではなく「真実を語り、償うこと」が本質的な救いだと気づく。小夜子の死は、彼女が他者に「償い」を促した結果だった。道正は、死刑制度の限界と人間の贖罪の在り方に向き...
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超・殺人事件 推理作家の苦悩

『超・殺人事件 推理作家の苦悩』(東野圭吾・新潮文庫)は、推理作家や出版業界をテーマにしたブラックユーモア満載の短編集です。全8編が収録されており、それぞれが「〜殺人事件」というタイトルで統一されています。📚 収録作品とネタバレあらすじ作品タイトル内容(ネタバレ込み)超税金対策殺人事件売れっ子作家が税金対策に苦しみ、経費で落とすために殺人を計画。会計士の友人と共謀するが、税務署の抜け目なさに敗北。ブラックな結末。超理系殺人事件理科教師が読む推理小説が、専門用語だらけで理解不能。読者を置き去りにする理系トリックの暴走がテーマ。最後は読者が「殺される」ような読書体験。超犯人当て小説殺人事件(問題篇・解決篇)編集者4人が作家から犯人当て小説を渡され、競争する。だが作家は実際に殺人を起こし、犯人当てが現実の事件に。解決篇で真相が明かされる。超高齢化社会殺人事件90歳の作家が連載を続けるが、内容は支離滅裂。編集者は殺意を抱くが、読者にはなぜかウケる。高齢化社会の皮肉が効いた一作。超予告小説殺人事件無名作家の小説通りに殺人事件が起こる。犯人は作家に接触し、次の予告を要求。作家は人気を得るが、最後は...
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悪徳の輪舞曲

『悪徳の輪舞曲』(講談社文庫・中山七里)は、悪辣弁護士・御子柴礼司シリーズの第4作で、彼の過去と家族に深く切り込む重厚な法廷ミステリーです。🧠 あらすじ(ネタバレ込み)🔪 母の殺人容疑御子柴礼司のもとに、30年ぶりに妹・梓が現れる。目的は、母・郁美の弁護依頼。郁美は再婚した資産家の夫・成沢拓馬を首吊り自殺に見せかけて殺害した容疑で逮捕されていた。郁美は容疑を否認するが、他の弁護士は「死体配達人」の母親という理由で依頼を拒否。御子柴は報酬1000万円を条件に弁護を引き受ける。🧬 遺伝する犯罪性?御子柴は、郁美の過去を調べる中で、29年前に自殺した父・園部謙造の死にも疑惑があることを知る。郁美は、父も偽装自殺で殺害したのではないかと疑われる。この二重の殺人疑惑に対し、御子柴は「犯罪気質は遺伝するのか?」という問いに直面する。自らが14歳で殺人を犯した過去と、母の現在の容疑が重なり、彼の心は揺れ動く。🧩 真相とどんでん返し裁判では、検察側が郁美の過去の転居歴や周囲からの迫害、保険金目的の動機などを提示。御子柴は冷静に反証を重ねるが、郁美の過去の言動や証拠が不利に働く。しかし、ラストで明かされ...
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十津川警部の標的

『十津川警部の標的』(光文社文庫 に-1-60)は、西村京太郎による短編集で、十津川警部が各地を舞台に難事件に挑む3編が収録されています。📘 収録作品一覧とネタバレあらすじ1️⃣ 十津川警部の標的事件概要:新宿のホステス殺しの容疑者・竹田淳が逃走。十津川は彼の逃走経路を推理し、北陸・芦原温泉の潜伏先を突き止める。真相:竹田は越前海岸の名勝・呼鳥門におびき出されるが、逆にライフル銃で十津川が狙撃される。犯人:竹田は殺人の動機を隠し、逃亡中にさらに罪を重ねていた。十津川は命の危険を冒しながらも逮捕に成功。2️⃣ 十津川警部「いたち」を追う(副題:神話と殺意の中国路)事件概要:中国地方を舞台に、横山大観と橋本関雪の絵にまつわる美術品詐欺と殺人事件が発生。真相:犯人は美術品の贋作を利用して金を得ていたが、真作を知る人物を口封じのために殺害。特徴:十津川が北川刑事とコンビを組み、文化財と殺意が交錯する事件に挑む。3️⃣ 十津川、民謡を唄う(副題:哀しみの余部鉄橋)事件概要:山陰地方の余部鉄橋を舞台に、民謡「安来節」に絡んだ殺人事件が発生。真相:被害者は民謡の保存活動に関わっていたが、過去の因縁が...
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虚像の道化師

『虚像の道化師』(文春文庫・東野圭吾)は、ガリレオシリーズ第7作にあたる短編集で、湯川学が不可解な事件の真相を科学的に解き明かしていく7編が収録されています。📘 収録作品一覧とネタバレあらすじ1️⃣ 幻惑す(まどわす)事件概要:新興宗教「クアイの会」の信者・男性が、教祖の“念”によって飛び降り自殺したとされる。真相:湯川は教祖の手の動きと心理誘導による錯覚を科学的に解明。教祖は信者の不安を煽り、暗示によって自殺に追い込んでいた。犯人:教祖自身が信者を操っていたが、直接的な殺人ではなく心理的誘導によるもの。2️⃣ 透視す(みとおす)事件概要:名刺を透視できると評判のホステス・アイが殺害される。彼女は客の秘密を見抜いていた。真相:湯川は透視のトリック(名刺の紙質やインクの透過性)を暴き、彼女が過去の犯罪を知ったために殺されたことを突き止める。犯人:アイの透視によって過去の殺人が露見することを恐れた元恋人。3️⃣ 心聴る(きこえる)事件概要:草薙刑事が刺されて入院。犯人の会社では以前にも社員の自殺が起きていた。真相:湯川は、社内で流されていた微弱な音波(心理的に不安を煽る周波数)による精神的...
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特急「あさしお3号」殺人事件

『特急「あさしお3号」殺人事件』(新潮文庫・西村京太郎)は、十津川警部シリーズの短編集の表題作で、鉄道トリックとアリバイ崩しが見どころの旅情ミステリーです。🚄 あらすじ(ネタバレあり)🧑‍🎨 事件の発端京都発・城崎温泉行きの特急「あさしお3号」の車内で、十津川警部の友人で新進作家・沢田功が殺害される。沢田は城崎で画家・滝村敬と会う予定だった。🕵️‍♂️ 容疑者とアリバイ十津川は滝村を疑うが、彼には鉄壁のアリバイがあった。滝村は事件発生時刻より14分早く城崎に到着する「北近畿5号」に乗っていたとされ、駅で目撃証言もある。📅 時刻表トリック十津川は時刻表を駆使して、滝村の行動に不自然な点があることを突き止める。実は滝村は「北近畿5号」で先に城崎に到着し、駅で目撃された後、再び戻って「あさしお3号」に乗り込み、沢田を殺害したのだった。🔚 解決滝村の目的は、沢田が自分の過去の犯罪を暴こうとしていたことへの口封じ。十津川は巧妙な列車トリックを見破り、滝村のアリバイを崩して逮捕に至る。📚 収録作品(短編集)この文庫には以下の3編が収録されています:特急「あさしお3号」殺人事件夜が殺意を運ぶ首相暗殺...
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高原鉄道殺人事件

『高原鉄道殺人事件』(祥伝社文庫・西村京太郎)は、十津川警部シリーズの短編集のひとつで、表題作を含む5編が収録されています。🚉 高原鉄道殺人事件(ネタバレあり)🧩 事件の発端亀井刑事の息子・健一から「お姉ちゃんが、死んじゃったよ!」という悲痛な電話が入る。被害者は亀井の姪・井上由紀。彼女は信州・小海線の乙女駅で、走行中の急行「信州1号」の車内から狙撃され死亡した。🕵️‍♂️ 捜査開始十津川警部と亀井刑事は現地に赴き、由紀の交友関係を調査。彼女は大学生で、芸能人・黒木明と交際していた。さらに、暴力団関係者や大学の同級生など、複数の人物が関与している可能性が浮上する。⏱️ 鉄壁のアリバイ容疑者の一人・中野勇には、事件当時札幌にいたという鉄壁のアリバイがあった。東京から札幌まで1300kmの距離をどうやって移動したのか?十津川は時刻表と列車の運行ルートを駆使してアリバイ崩しに挑む。🚂 列車トリックの解明犯人は、複数の列車を乗り継ぎ、飛行機も利用して東京〜札幌間を短時間で移動していた。十津川はその巧妙なトリックを見破り、犯人のアリバイを崩す。🔚 結末犯人は、由紀が過去の犯罪を知ってしまったこと...
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大垣行345M列車の殺意

『大垣行345M列車の殺意』(西村京太郎・新潮文庫)は、十津川警部シリーズの中でも鉄道を舞台にした短編集で、表題作を含む4編が収録されています。🚃 表題作「大垣行345M列車の殺意」あらすじ(ネタバレあり)🕰️ 深夜の殺人東京駅23時25分発の夜行普通列車「大垣行345M」に乗っていた若い女性が、車内で殺害される。彼女は一人旅の途中で、殺害された状況には不可解な点が多く、乗客の証言も曖昧。🕵️‍♂️ 容疑者は十津川の友人!?捜査が進む中、容疑者として浮上したのは十津川警部の旧友。彼は偶然同じ列車に乗っていたが、被害者との接点が不明。十津川は友人の無実を信じ、独自に調査を開始する。🧠 鉄道トリックとアリバイ崩し事件の鍵は、深夜列車の停車駅と乗客の動きに隠された鉄道トリック。十津川は、時刻表と乗車記録を丹念に調べ、犯人が巧妙にアリバイを偽装していたことを突き止める。⚖️ 真犯人と動機犯人は、被害者と過去に因縁のある人物で、偶然を装って同じ列車に乗り込み、計画的に殺害した。動機は復讐と保険金目的。十津川の推理により真相が明らかになり、友人の疑いも晴れる。📚 他の収録作(簡易紹介)「十津川警部...
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十津川警部 猫と死体はタンゴ鉄道に乗って

『十津川警部 猫と死体はタンゴ鉄道に乗って』(西村京太郎・講談社文庫)は、鉄道と猫をモチーフにした旅情ミステリーで、丹後地方を舞台にした複雑な殺人事件を描いています。🧩 あらすじ(ネタバレあり)🔥 焼死体と子猫東京・谷中にある喫茶店「カフェ猫」で、店主が子猫とともに焼死体で発見される。事件直前、ウエイトレスの野中弥生が失踪しており、彼女は「大江山 いく野の道の遠ければ まだふみもみず天の橋立」という百人一首の歌を残していた。🚃 丹後への手がかりこの和歌に導かれ、警視庁の西本刑事は丹後地方へ向かう。弥生の過去を探るが、地元の人々は口が重く、捜査は難航。やがて東京で新たな殺人が発生し、十津川警部と亀井刑事も丹後へ向かう。🧠 真相の糸口事件の鍵は、弥生が過去に関わったある人物と、丹後地方に眠る未解決事件。百人一首の歌は、彼女が過去の罪と向き合うために残したメッセージだった。タンゴ鉄道が象徴する「過去への旅」が、事件の真相を解き明かす手がかりとなる。⚖️ 結末十津川の執念の捜査により、弥生の失踪と連続殺人の真犯人が明らかになる。犯人は過去の事件を隠蔽するために殺人を重ねていた。弥生は生存してお...
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