アガサ・クリスティー 検察側の証人

BBC制作・トビー・ジョーンズ主演のドラマ「アガサ・クリスティー 検察側の証人」(2016年)は、原作の短編小説をベースにしながらも、脚本家サラ・フェルプスによる大胆なアレンジが加えられた、重厚で陰鬱な雰囲気の法廷ミステリーです。以下、ネタバレを含めてご紹介します。


⚖️ あらすじ(ネタバレあり)

  • 舞台は1920年代のロンドン。裕福な未亡人エミリー・フレンチが殺害され、彼女の遺産を相続する予定だった若い男レナード・ヴォールが容疑者として逮捕される。
  • 弁護士メイヒュー(トビー・ジョーンズ)は、レナードの無実を信じて弁護を引き受けるが、捜査が進むにつれて彼の過去や人間関係に疑念を抱くようになる。
  • レナードの恋人ローマインは、彼を守るはずの存在だったが、法廷では検察側の証人として登場し、彼に不利な証言をする。
  • しかし、ローマインの証言は偽証であり、実は彼を救うための策略だったことが明かされる。
  • 裁判はレナードの無罪で終わるが、最後に彼こそが真犯人だったことが示唆される衝撃のラストが待っている。

🎭 ドラマ版の特徴

  • 原作のミステリー要素に加え、戦争の傷跡や階級格差、愛と裏切りといったテーマが濃厚に描かれている。
  • メイヒューの家庭や精神的苦悩など、原作にはないオリジナル要素が多く盛り込まれており、視聴者を心理的に追い詰める構成になっている。
  • 映像美と演技力が際立ち、特にトビー・ジョーンズの繊細な演技が作品全体の緊張感を高めている。

このドラマは、アガサ・クリスティー作品の中でも特に「人間の闇」に焦点を当てた異色作とも言えます。原作ファンには賛否両論あるかもしれませんが、サラ・フェルプス脚本ならではの深みと重さが魅力です。