以下に、映画『十二人の怒れる男』(1957年公開)の内容を、ネタバレを含めて解説します。
この映画は、密室での陪審員たちの議論だけで展開される、心理劇・法廷劇の金字塔です。
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🎬 基本情報
- 原題:12 Angry Men
- 監督:シドニー・ルメット
- 脚本:レジナルド・ローズ(自身のテレビドラマ脚本を映画化)
- 主演:ヘンリー・フォンダ(第8陪審員)
- 舞台:ニューヨークの陪審員室(ほぼ全編がこの一室で進行)
🧑⚖️ 物語の前提
- 被告はスラム街出身の18歳の少年。
- 罪状は実父をナイフで刺殺した容疑。
- 有罪なら死刑。
- 陪審員12人による全会一致の評決が必要。
🧍♂️ 陪審員たちの人物像(番号順)
| 番号 | 特徴 |
|---|---|
| 1番 | 議長役。中立的で調整役。 |
| 2番 | 気弱で優柔不断。 |
| 3番 | 短気で頑固。息子との確執あり。 |
| 4番 | 冷静で論理的。証拠重視。 |
| 5番 | スラム育ち。被告に共感。 |
| 6番 | 正義感が強く、誠実。 |
| 7番 | 野球観戦を急ぐ軽薄な男。 |
| 8番 | 良心的で観察力が鋭い。唯一の「無罪」スタート。 |
| 9番 | 老人。人間観察に優れる。 |
| 10番 | 差別的で偏見に満ちた男。 |
| 11番 | 移民出身。制度に敬意を持つ。 |
| 12番 | 広告マン。軽薄で流されやすい。 |
🧩 ストーリー詳細(ネタバレ)
第1幕:最初の投票(11対1)
- 陪審員室に入った12人は、早く終わらせたい空気。
- 第1回の投票で11人が「有罪」、第8陪審員だけが「無罪」。
- 第8陪審員は「合理的疑いがある」と主張し、議論を提案。
第2幕:証拠の再検討と票の変化
ナイフの唯一性が崩れる
→ 第8陪審員が同じナイフを取り出し、「珍しいものではない」と証明。老人証人の証言の矛盾
→ 足の悪い老人が短時間で玄関まで行けたか?
→ 再現実験で不可能と判明。票が徐々に変化
→ 第9陪審員が第8に同調し、以後少しずつ「無罪」票が増える。第3陪審員の感情的反応
→ 息子との確執が動機で「有罪」に固執していることが明らかに。目撃女性の証言の疑義
→ 彼女は眼鏡をかけていた可能性が高く、就寝中に眼鏡なしで目撃できたのか疑問が生じる。第10陪審員の差別的発言と孤立
→ スラム出身者への偏見を露骨に語り、他の陪審員全員に無視される。
第3幕:最終決着
- 最後まで「有罪」を主張していたのは第3陪審員のみ。
- 彼は感情を爆発させ、息子の写真を破り、ついに「無罪」に票を変える。
- 全員一致で「無罪」となり、少年は無罪放免に。
🎭 テーマとメッセージ
- 合理的疑い(Reasonable Doubt)の重要性
- 偏見・先入観が判断を歪める危険性
- 個人の良心が集団心理を変える力
- 司法制度の意義と責任
🏁 ラストシーン
- 陪審員たちは名前も知らぬまま別れを告げる。
- 第8陪審員と第9陪審員だけが名前を名乗り合い、静かに去っていく。
この映画は、密室劇の傑作として高く評価され、
「正義とは何か」「人間の偏見とは何か」を問う普遍的なテーマを持ち、
今なお世界中で鑑賞され続けています。