『配達されない三通の手紙』(1979年)は、エラリー・クイーンの小説『災厄の町』を原作に、日本の山口県萩市を舞台に翻案された心理ミステリー映画です。三通の手紙が導火線となり、名家に潜む秘密と殺意が暴かれていきます。以下、結末まで含む詳細なネタバレです。
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🏠 登場人物と舞台設定
- 唐沢家:萩の名士で、長門銀行を経営する家系。
- 光政(佐分利信):家長。銀行頭取。
- すみ江(乙羽信子):妻。
- 麗子(小川眞由美):長女。スナック経営。
- 紀子(栗原小巻):次女。かつて銀行員・藤村敏行と婚約していた。
- 恵子(神崎愛):三女。地方検事・峰岸と婚約中。
- 藤村敏行(片岡孝夫):紀子の元婚約者。3年前に失踪。
- 藤村智子(松坂慶子):敏行の妹。謎めいた存在。
- ロバート“ボブ”フジクラ(蟇目良):光政の姉の孫。アメリカから来日し、唐沢家の離れに滞在。
📜 物語の展開
第1幕:再会と結婚
- ボブが唐沢家を訪問。日本文化研究のため滞在。
- 紀子は3年前に婚約者・敏行に捨てられ、心を病んでいた。
- 敏行が突然帰還。紀子は歓喜し、家族の反対を押し切って結婚。
- 二人はヨーロッパへ新婚旅行に出かけ、帰国後は唐沢家の離れに住む。
第2幕:不穏な影と三通の手紙
敏行の妹・智子が突然現れ、唐沢家に居座る。
智子は家族に対して挑発的な態度を取り、特に紀子に冷淡。
紀子は敏行の書斎で三通の手紙を発見。動揺する。
ボブと恵子が手紙を盗み見し、内容を知る:
- 8月11日付:敏行の妻が病気になったという報告。
- 8月20日付:妻が重体。
- 9月1日付:妻の死を報告。
→ つまり、敏行は失踪中に別の女性と結婚していた。
第3幕:毒と疑念
- 手紙の内容と日付が、紀子の体調不良と一致していることに気づく。
- 8月11日:ワインを飲んだ紀子が嘔吐。
- 8月20日:コーヒーに砒素が混入されていた。
- 恵子とボブは、敏行が紀子を毒殺しようとしていると疑う。
- 智子の存在も不気味で、彼女が共犯か、あるいは別の意図があるのか不明。
第4幕:真相と結末
- 恵子とボブは、敏行の毒殺計画を阻止しようと奔走。
- 最終的に、敏行は紀子を毒殺しようとしていたことが明らかに。
- 彼の動機は、過去の重婚とその発覚を恐れたこと、そして唐沢家の財産目当て。
- 智子は実は敏行の“本当の妻”であり、彼の悪事を暴くために現れた。
- 敏行は追い詰められ、自殺する。
- 紀子は命を取り留めるが、心に深い傷を負う。
🎭 テーマと構造
- 三通の手紙は、未来の日付で書かれており、犯行の予告状として機能。
- エラリー・クイーン原作の「災厄の町」の構造を踏襲しつつ、日本的な家制度や女性の立場を織り込んだ脚色。
- 毒殺ミステリー+家族ドラマ+心理劇が融合した重厚な作品。