映画『ラストマイル』(2024年公開)は、野木亜紀子脚本・塚原あゆ子監督によるサスペンスで、『アンナチュラル』『MIU404』と同じ世界観を共有する作品です。以下、完全ネタバレ込みで詳細なストーリーを整理します。
🎬 基本情報
- 公開:2024年8月23日
- 監督:塚原あゆ子
- 脚本:野木亜紀子
- 主演:満島ひかり(舟渡エレナ)、岡田将生(梨本孔)
- 共演:ディーン・フジオカ、中村倫也、石原さとみ、綾野剛、星野源 ほか
- 主題歌:米津玄師「がらくた」
🧨 物語の流れ(完全ネタバレ)
序盤:連続爆破事件の発端
- 11月、ブラックフライデー前夜。
運送業者「羊急便」のドライバーが配送した荷物が爆発し、住人が死亡。 - 荷物は大手通販サイト「デイリーファースト」から発送された最新スマホ「デイリーフォン」。
- 翌日、関東最大の物流拠点「西武蔵野ロジスティクスセンター」に新センター長として舟渡エレナが赴任。
彼女を迎えるのは若手マネージャー梨本孔。
中盤:物流センターと警察の攻防
- 警視庁の毛利・刈谷刑事が現れ、爆発荷物がこのセンターから出たと告げる。
- 直後にオフィスビルやモールでも爆発が発生。いずれも同センターから発送された荷物。
- エレナは出荷を止める決断をするが、会社の利益を優先し、警察への情報提供を遅らせる。
- SNS上に「デイリーファウスト」というアカウントが現れ、「熱いものを1ダース仕掛けた」と爆破予告。
- 調査の結果、依頼人は山崎佑という元社員。しかし彼は5年前にセンターから飛び降り、昏睡状態のまま入院中。
終盤:真相の暴露
- 梨本孔は、山崎の履歴が社内データから消されていることを突き止める。
- その削除を行ったのがエレナ自身であると判明。孔は彼女を問い詰める。
- 実はエレナも過去にブラックフライデー業務で心身を壊し、休職していた人物。
- 彼女は「自分が壊れたら終わり」という恐怖から、会社の圧力に屈し、事件を隠蔽しようとしていた。
- 犯人像として浮かんだ山崎は「象徴的存在」であり、実際の爆弾は内部のシステムを悪用した仕掛けによるもの。
- 背後には「デイリーファースト」の歪んだ構造と、過酷な労働環境があった。
クライマックス
- 配送を止められた「羊急便」の委託ドライバー佐野昭と息子・亘は、報酬ゼロの現実に直面。
- 彼らの姿を通じて「ラストマイル=最後に荷物を届ける人々」の過酷さが浮き彫りになる。
- 警察(伊吹&志摩=『MIU404』コンビ)やUDIラボ(『アンナチュラル』)も登場し、シェアードユニバースとして事件解決に関与。
- 最後に、エレナは自分の弱さと向き合い、孔に心情を吐露。
- 「ラストマイル」とは単なる物流用語ではなく、人間の心の最後の一線=壊れるか踏みとどまるかの境界を意味していた。
🔑 テーマと結末の意味
- 物流の闇:便利さの裏で犠牲になる末端労働者。
- 企業の論理と人間の尊厳:利益優先の構造が人を追い詰める。
- 「ラストマイル」=人間の限界:荷物を届ける最後の区間と、人間が壊れる直前の境界を重ねている。
- 結末では、爆破事件の真犯人は「個人」ではなく、システムと構造そのものであることが示唆される。
📝 まとめ
『ラストマイル』は単なる爆破サスペンスではなく、
- ブラックフライデーの狂騒
- 物流業界の過酷な現実
- 利益優先の企業体質
- 末端労働者の苦悩
を描きつつ、「人間が壊れる最後の一線」をテーマにした社会派サスペンスです。
『アンナチュラル』『MIU404』のキャラも絡むことで、事件は「個人の犯罪」ではなく「社会全体の病理」として描かれています。