1980年1月26日にテレビ朝日系「土曜ワイド劇場」で放映された実録ドラマ『帝銀事件・大量殺人獄中32年の死刑囚』の内容を、完全ネタバレで詳細にご紹介します。
🕵️♂️作品概要
- 原作:松本清張『小説帝銀事件』『日本の黒い霧』
- 脚本:新藤兼人
- 監督:森崎東
- 主演:仲谷昇(平沢貞通役)、田中邦衛(古志田警部補)、橋本功(稲佐検事)ほか
- 放送日:1980年1月26日(土曜ワイド劇場)
- 放送時間:21:02〜23:44(単発)
🧪事件の発端(1948年1月26日)
- 帝国銀行椎名町支店に、防疫班の腕章をつけた男が現れる。
- 男は「GHQの命令で赤痢の予防薬を飲むように」と行員らに指示。
- 実際には青酸化合物が混入されており、16人中12人が死亡。
- 犯人は現金16万4410円と小切手1万7450円を奪って逃走。
🔍捜査の展開
- 捜査本部が設置されるも、物証は乏しい。
- 類似事件が2件(安田銀行荏原支店・三菱銀行中井支店)発覚。
- そこに残された名刺「厚生技官 医学博士 松井蔚」が手がかりに。
- 名刺の出所を追うと、テンペラ画家・平沢貞通に行き着く。
👮♂️平沢への疑惑と逮捕
- 古志田警部補(田中邦衛)が執拗に平沢を追う。
- 平沢は過去に詐欺行為を働いていたこともあり、疑いが強まる。
- 1ヶ月に及ぶ取り調べの末、平沢は自供を始める。
- 1955年、死刑判決が下される。
⚖️裁判と冤罪の可能性
- 裁判では物証が乏しく、辻褄の合わない点が多い。
- 名刺の入手経路や薬品の出所など、GHQや731部隊の関与も疑われる。
- 平沢は名刺交換した人物の財布を盗まれたと主張。
- 上層部は当初平沢を疑っていなかったが、GHQの介入後に方針転換。
🧑⚖️ドラマの構成と演出
- ドキュメンタリータッチで進行。ナレーションは福田豊土。
- 事件の悲惨さと理不尽さを淡々と描写。
- 裁判シーンではコミカルな演出も交え、緊張感を緩和。
- 映像では、行員が薬を飲む場面を天井から見下ろすショットで描写。
🧓その後の平沢とドラマの結末
- ドラマは1980年時点までを描くが、実際には平沢は再審請求を続けるも認められず。
- 1987年、95歳で獄中死。
- 冤罪の可能性は最後まで残り、真相は不明のまま幕を閉じる。
🎬補足情報
- 第17回ギャラクシー月間賞受賞作品。
- 映画版『帝銀事件 死刑囚』の演出を一部踏襲。
- 1985年の再放送ではタイトルが『帝銀事件・大量殺人獄中三十九年の死刑囚』に変更。
このドラマは、戦後最大級の未解決事件を実録風に描き、冤罪の可能性や戦後日本の混乱を浮き彫りにした重厚な作品です。