『伊豆・河津七滝に消えた女 十津川警部の叛撃』(光文社文庫)は、西村京太郎による短編集で、十津川警部が名勝地を舞台に難事件に挑む3編が収録されています。
📘 収録作品一覧と内容(ネタバレあり)
1. 伊豆・河津七滝に消えた女
- あらすじ:十津川警部が妻・直子と伊豆旅行中、OLグループの一人・東郷由美子が河津七滝で失踪。一ヶ月後、彼女の遺体が東京・国立市の豪邸地下室で発見される。
- 謎と展開:
- 由美子はなぜ絵に興味がないのにスケッチブックを持っていたのか?
- 月収15万円のOLがなぜ家賃13万円のマンションに住めたのか?
- 直子が撮ったスナップ写真が事件解決の鍵となる。
- 真相:由美子は企業の不正を知ってしまい、口封じのために殺害された。スケッチブックには証拠が隠されていた。
2. 鬼怒川心中事件
- あらすじ:出版社に「鬼怒川心中事件」という小説原稿がFAXで届くが、作者・平木明は自分の作品ではないと否定。その後、彼の遺体が晴海埠頭で発見される。
- 謎と展開:
- 原稿を送ったのは誰か?
- 小説の内容が現実の事件とリンクしている。
- 十津川は容疑者に心理的揺さぶりをかけて捜査を進める。
- 真相:平木の交際相手が嫉妬と復讐心から事件を起こし、小説を模倣して犯行を隠蔽しようとした。
3. 伊豆下田で消えた友へ
- あらすじ:十津川の大学時代の友人・小島進から「下田にいる」との手紙が届く。その後、小島の遺体が晴海埠頭で発見され、さらに別居中の妻も殺される。
- 謎と展開:
- なぜ小島は十津川に手紙を送ったのか?
- 背景には企業の内部告発と不正が絡んでいた。
- キーアイテムは「ダイエット食品」。
- 真相:小島は企業の不正を暴こうとして命を狙われ、妻も巻き込まれてしまった。十津川は企業の闇を暴き、事件を解決する。
🧠 共通の特徴と魅力
特徴 | 内容 |
---|---|
舞台 | 伊豆・鬼怒川・東京など名勝地が舞台。旅情ミステリーの醍醐味。 |
捜査手法 | 十津川の心理戦と亀井刑事との連携が光る。 |
社会性 | 企業不正、内部告発、女性の孤独など現代的テーマを内包。 |
キーアイテム | スケッチブック、小説原稿、ダイエット食品などが事件解決の鍵。 |