映画『セプテンバー5』は、1972年のミュンヘンオリンピックで実際に起きた「ミュンヘン事件」を題材にしたヒューマンサスペンスで、報道の舞台裏から事件を描く異色の作品です。
🎬 基本情報
- 公開日:2025年2月14日(日本)
- 監督:ティム・フェールバウム
- 出演:ピーター・サースガード、ジョン・マガロ、ベン・チャップリン、レオニー・ベネシュ ほか
- ジャンル:サスペンス/ドラマ
- 上映時間:95分
🧨 あらすじ(ネタバレあり)
【起】事件の発端
1972年9月5日、ミュンヘンオリンピック開催中に、パレスチナ武装組織「黒い九月」がイスラエル選手団を襲撃。2名を殺害し、9名を人質にして選手村に立てこもります。
この事件を偶然近くにいたアメリカのスポーツ中継局「ABCスポーツ」のクルーたちが生中継することに。彼らは報道の専門家ではなく、スポーツ番組の技術スタッフでした。
【承】報道の混乱と倫理的葛藤
- テロリストの要求は、イスラエルと西ドイツに拘束されている囚人の解放。
- クルーたちは限られた情報と技術で中継を続けるが、犯人側もテレビを見ていることに気づき、報道が事件に影響を与える可能性に葛藤。
- ユダヤ系スタッフのマービンは、ホロコーストの記憶と重ねて事件に複雑な感情を抱く。
【転】交渉決裂と誤報
- 犯人との交渉は決裂し、空港での銃撃戦に発展。
- ABCクルーは「人質が全員解放された」との未確認情報を報道してしまい、世界中に誤報を流す。
- 実際には人質9名全員が死亡。犯人5名と警察官1名も命を落とす大惨事となる。
【結末】報道の代償
- クルーたちは報道の責任と限界を痛感し、事件の悲劇を前に沈黙。
- ラストシーンでは、ディレクターが壁に貼られた犠牲者の写真を見つめる姿で幕を閉じる。
🎥 特徴とテーマ
- 視点の限定:事件現場ではなく、テレビ中継のコントロールルームからの視点のみで描写。
- 報道倫理:スクープ欲とジャーナリズムの責任の間で揺れるクルーたちの葛藤。
- リアリティ:実際のニュース映像も挿入され、臨場感と緊迫感を強調。
この作品は、スティーヴン・スピルバーグ監督の『ミュンヘン』とは異なり、報復ではなく「報道の現場」に焦点を当てた構成が特徴です。事件の顛末を知っていても、報道の裏側から見ることで新たな視点が得られる構造になっています。