『沈黙の裁き 告発弁護士シリーズ』(講談社文庫)は、和久峻三による法廷ミステリーで、老弁護士・猪狩文助が冤罪事件に挑む重厚な一作です。
🧩 物語の概要(ネタバレあり)
- 事件の発端:マンションの屋上で遊んでいた3歳の幼女が突然失踪。母親は誘拐と主張するが、警察は「一晩様子を見よう」と消極的。
- 10日後:ようやく身代金要求の電話が入るが、すでに手遅れ。幼女は死亡していた。
- 遺体の状態:全裸でプラスチック漬けにされ、死後2年経過しても腐敗していないという猟奇的な状況。
- 容疑者:母親の交際相手である男性が逮捕されるが、証拠は乏しく冤罪の可能性が高い。
⚖️ 弁護士・猪狩文助の活躍
- 人物像:歯が抜け落ち、皺深い顔に臆病そうな眼を持つ老弁護士。見た目は水戸黄門風だが、法廷では老獪かつ人情味あふれる弁護を展開。
- 助手:司法修習生とのコンビで事件に挑む。
- 弁護戦略:
- 証拠の矛盾を突く。
- 警察の初動捜査の甘さを批判。
- 被告人の人間性と周囲の証言を掘り下げる。
- 真相解明:事件の背後には複雑な人間関係と、ある人物の“クズっぷり”が隠されていた。
- 結末:読者の予想を裏切る畳み掛ける展開で、衝撃の真犯人が明かされる。冤罪は晴れ、猪狩の勝利となる。
🧠 作品の特徴
特徴 | 内容 |
---|---|
ジャンル | 法廷ミステリー/社会派サスペンス |
主題 | 冤罪、司法の限界、親子の絆、人間の業 |
読後感 | 救いのない導入から、意外性のある結末へ。読者の倫理観を揺さぶる。 |
評判 | 「クズにも裁きを!」という読者の声もあり、社会的メッセージ性が強い作品。 |