『十津川警部 猫と死体はタンゴ鉄道に乗って』(西村京太郎・講談社文庫)は、鉄道と猫をモチーフにした旅情ミステリーで、丹後地方を舞台にした複雑な殺人事件を描いています。
🧩 あらすじ(ネタバレあり)
🔥 焼死体と子猫
東京・谷中にある喫茶店「カフェ猫」で、店主が子猫とともに焼死体で発見される。事件直前、ウエイトレスの野中弥生が失踪しており、彼女は「大江山 いく野の道の遠ければ まだふみもみず天の橋立」という百人一首の歌を残していた。
🚃 丹後への手がかり
この和歌に導かれ、警視庁の西本刑事は丹後地方へ向かう。弥生の過去を探るが、地元の人々は口が重く、捜査は難航。やがて東京で新たな殺人が発生し、十津川警部と亀井刑事も丹後へ向かう。
🧠 真相の糸口
事件の鍵は、弥生が過去に関わったある人物と、丹後地方に眠る未解決事件。百人一首の歌は、彼女が過去の罪と向き合うために残したメッセージだった。タンゴ鉄道が象徴する「過去への旅」が、事件の真相を解き明かす手がかりとなる。
⚖️ 結末
十津川の執念の捜査により、弥生の失踪と連続殺人の真犯人が明らかになる。犯人は過去の事件を隠蔽するために殺人を重ねていた。弥生は生存しており、彼女の証言が決定打となる。事件は解決するが、過去の傷は深く、十津川は「人は過去から逃げられない」と静かに語る。
🎭 作品の特徴とテーマ
- 猫と鉄道:西村京太郎の好物を融合させたユニークな設定。
- 百人一首の暗号性:和歌が事件の鍵を握る文学的な構造。
- 丹後地方の旅情:天橋立やタンゴ鉄道など、風景描写が豊か。
- 過去と現在の交錯:未解決事件と現在の殺人が絡み合う構成。
この作品は、鉄道ミステリーの枠を超えて、文学的要素と人間ドラマが交錯する意欲作です。猫好きにも鉄道ファンにも刺さる一冊です。