謎解きはディナーのあとで

『謎解きはディナーのあとで』(小学館)は、東川篤哉によるユーモア×本格ミステリーの連作短編集で、毒舌執事・影山と令嬢刑事・宝生麗子が難事件を鮮やかに解決していく人気シリーズの第1作です。


📚 収録作品一覧(ネタバレあり)

第1話:殺人現場では靴をお脱ぎください

  • 事件:OL・吉本瞳が自宅で窒息死。外出着とブーツを着用していた。
  • 真相:犯人は同僚の女性。退職を巡るトラブルが動機。死後にブーツを履かせ、外出中の事故に見せかけた。

第2話:殺しのワインはいかがでしょう

  • 事件:ワインバーのオーナーが毒殺される。毒入りワインを誰が注いだか不明。
  • 真相:店員がワインの注ぎ方に細工をし、毒入りグラスを被害者に渡した。影山はワインの銘柄と注ぎ方から推理。

第3話:綺麗な薔薇には殺意がございます

  • 事件:バラ園で女性が毒殺される。園芸仲間とのトラブルが背景。
  • 真相:犯人は園芸仲間の一人。バラの手入れ用薬品に毒を混ぜていた。影山は植物の知識から見抜く。

第4話:花嫁は密室の中でございます

  • 事件:結婚式場で花嫁が密室状態で殺害される。
  • 真相:式場スタッフが窓の鍵に細工をして密室を偽装。影山は鍵の構造と式場の動線からトリックを解明。

第5話:二股にはお気をつけください

  • 事件:二股交際していた男性が殺害される。容疑者は交際相手の女性2人。
  • 真相:犯人は第三の女性。二股相手ではなく、裏切られた元恋人。影山は被害者の行動パターンから特定。

第6話:死者からの伝言をどうぞ

  • 事件:被害者が残した「伝言」が謎を呼ぶ。
  • 真相:伝言は犯人が偽装したもの。真の動機は遺産相続。影山は言葉の使い方と家族関係から真相に迫る。

特別編:宝生家の異常な愛情(文庫書き下ろしショートショート)

  • 内容:麗子の家庭事情と影山の過去が垣間見える短編。事件は起きないが、シリーズの背景を補完するエピソード。

🎭 作品の魅力と構成

特徴内容
探偵役執事・影山が現場を見ずに話だけで推理する“安楽椅子探偵”。
語り手麗子の一人称で進行。影山の毒舌と麗子の反応がユーモラス。
推理一話完結型で、日常の中に潜むトリックを鮮やかに解決。
テーマ上流階級×庶民のギャップ、職場の人間関係、恋愛トラブルなど。

📝 総評

『謎解きはディナーのあとで』は、軽妙な会話劇と本格的な謎解きが融合したエンタメミステリーの傑作です。2011年本屋大賞第1位、同年ベストセラー第1位を獲得し、ドラマ・映画・漫画化もされた国民的シリーズです。